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| 去る1月15日に行われた『令和5年度(2023年度)大学入学共通テスト:化学』を解いてみました。
問題や解答はネット上に公開されていますので、そちらでご確認ください。 (『朝日新聞デジタル』、『読売新聞オンライン』、『毎日新聞』)
解答自体は公開されているので、一応、解説がメインです。 ……ですが、私製の宿命として、もしかしたら誤りがあるかもしれません。 あしからずご了承下さいませ。
記事は大問ごとに分割しています。 この記事ではその3として、第3問を取り扱います。
令和5年度(2023年度)大学入学共通テスト:化学
【第3問】(20点)
問1[16]④(4点) ハロゲンに関する問題。
フッ素の方がヨウ素よりも酸化力が強いので、④は誤り。 (周期表で上にあるほど酸化力が強い)
したがって、正解は④
問2[17][18]③⑤(順不同完答4点) 金属イオンの系統分離の問題。
与えられたすべての金属が水溶液に含まれると仮定し、操作を考える。 操作Ⅰを行うと塩化銀(Ⅰ)の白色沈殿を生じるはずなので、①は誤り。
${\text{A}}{{\text{g}}^ + } + {\text{C}}{{\text{l}}^ - } \to {\text{AgCl}} \downarrow $
操作Ⅱは酸性条件の硫化水素。 これを行うと、硫化銅(Ⅱ)の黒色沈殿を生じる。
${\text{C}}{{\text{u}}^{2 + }} + {{\text{S}}^ - } \to {\text{CuS}} \downarrow $
操作Ⅲの前半は、溶け残った硫化水素を追い出し、還元された金属イオンをもとに戻す。 続けて後半を行うと水酸化アルミニウム(白色)と水酸化鉄(Ⅲ)(赤褐色)の沈殿を生じるはずなので、②④は誤り。
$\begin{align} &{\text{A}}{{\text{l}}^{3 + }} + 3{\text{O}}{{\text{H}}^ - } \to {\left( {{\text{OH}}} \right)_3} \downarrow \hfill \\ &{\text{F}}{{\text{e}}^{3 + }} + 3{\text{O}}{{\text{H}}^ - } \to {\text{Fe}}{\left( {{\text{OH}}} \right)_3} \downarrow \hfill \\ \end{align} $
操作Ⅳは塩基性条件での硫化水素。 これを行うと、硫化亜鉛の白色沈殿を生じる。
${\text{Z}}{{\text{n}}^{2 + }} + {{\text{S}}^ - } \to {\text{ZnS}} \downarrow $
したがって、正解は③と⑤。
問3a[19]⑤[20]②(各2点) 1族および2族の金属元素の問題。
与えられた6種の金属単体のうち、室温の水と反応して水素を発するのは1族元素すべてとカルシウム。 すなわち、④と⑤はYではない。
$\begin{align} &{\text{2}}{{\text{M}}^{\text{I}}} + 2{{\text{H}}_2}{\text{O}} \to 2{{\text{M}}^{\text{I}}}{\text{OH}} + {{\text{H}}_2} \uparrow \hfill \\ &{\text{Ca}} + 2{{\text{H}}_2}{\text{O}} \to {\text{Ca}}{\left( {{\text{OH}}} \right)_2} + {{\text{H}}_2} \uparrow \hfill \\ \end{align} $
希塩酸に関しては、6種の金属すべてが反応する。 つまり、ここからだけではXを絞ることはできない。
$\begin{align} &2{{\text{M}}^{\text{I}}} + 2{{\text{H}}^{\text{ + }}} \to 2{{\text{M}}^{\text{ + }}} + {{\text{H}}_2} \uparrow \hfill \\ &{{\text{M}}^{{\text{II}}}} + 2{{\text{H}}^{\text{ + }}} \to {{\text{M}}^{2 + }} + {{\text{H}}_2} \uparrow \hfill \\ \end{align} $
よって、グラフの値を読み取って金属元素Xを特定する。 Xが1族である場合と2族である場合それぞれについて、原子量を求める方程式を立てる。
Xを1族と仮定 $\begin{align} \dfrac{{10\;[{\text{mg}}] \times {{10}^{ - 3}}\;[{\text{g}}/{\text{mg}}]}}{{M\;[{\text{g}}/{\text{mol}}]}} \times \dfrac{1}{2} \times 22.4\;[{\text{L}}/{\text{mol}}] &= 9\;[{\text{mL}}] \times {10^{ - 3}}\;[{\text{L}}/{\text{mL}}] \\ M &= 12.4...\;[{\text{g}}/{\text{mol}}] \\ \end{align} $
選択肢の中で、これに近い原子量を持つ1族元素はない。
Xを2族と仮定 $\begin{align} \dfrac{{10\;[{\text{mg}}] \times {{10}^{ - 3}}\;[{\text{g}}/{\text{mg}}]}}{{M\;[{\text{g}}/{\text{mol}}]}} \times 22.4\;[{\text{L}}/{\text{mol}}] &= 9\;[{\text{mL}}] \times {10^{ - 3}}\;[{\text{L}}/{\text{mL}}] \\ M &= 24.8...\;[{\text{g}}/{\text{mol}}] \\ \end{align} $
選択肢の中で、これに近い原子量を持つ2族元素はマグネシウム(24)。
Yについても同様に行う。 除外される選択肢があることには注意する。
Yを1族と仮定 $\begin{align} \dfrac{{20\;[{\text{mg}}] \times {{10}^{ - 3}}\;[{\text{g}}/{\text{mg}}]}}{{M\;[{\text{g}}/{\text{mol}}]}} \times \dfrac{1}{2} \times 22.4\;[{\text{L}}/{\text{mol}}] &= 9\;[{\text{mL}}] \times {10^{ - 3}}\;[{\text{L}}/{\text{mL}}] \\ M &= 24.8...\;[{\text{g}}/{\text{mol}}] \\ \end{align} $
選択肢の中で、これに近い原子量を持つ1族元素はナトリウム(23)。
Yを2族(カルシウム)と仮定 $\begin{align} \dfrac{{20\;[{\text{mg}}] \times {{10}^{ - 3}}\;[{\text{g}}/{\text{mg}}]}}{{M\;[{\text{g}}/{\text{mol}}]}} \times 22.4\;[{\text{L}}/{\text{mol}}] &= 9\;[{\text{mL}}] \times {10^{ - 3}}\;[{\text{L}}/{\text{mL}}] \\ M &= 49.7...\;[{\text{g}}/{\text{mol}}] \\ \end{align} $
カルシウムの原子量(40)と異なる値なので、これは不適。 また2族元素全体でも、これに近い原子量を持つ元素はない。
したがって正解は、Xが⑤でYが②。 ちなみに、選択肢の金属すべてをグラフに書き入れると、以下の様になる。
 (画像クリックで高解像度版表示)
問3b[21]③(4点) 吸収管に用いる物質に関する問題。
上流の吸収管Bでは、水か二酸化炭素のどちらか一方のみを吸収する必要がある。 ソーダ石灰は両方を吸収し、酸化銅(Ⅱ)はどちらも吸収しないので、①②⑤⑥は誤り。
上流が塩化カルシウムであれば水を吸収するので、下流の吸収管Cでは二酸化炭素を吸収すればよい。 このとき水は吸収してもしなくてもよいが、どちらも吸収しない酸化銅(Ⅱ)つまり④は不適。
したがって、正解は③。
問3c[22]④(4点) bの装置を用いて、反応前の酸化マグネシウムの量を求める問題。
まず、水酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムを加熱した際の反応式を立てる。 (酸化マグネシウムは加熱で変化しない)
$\begin{align} &{\text{Ca}}{\left( {{\text{OH}}} \right)_2}\xrightarrow{\Delta }{\text{CaO}} + {{\text{H}}_2}{\text{O}} \uparrow \hfill \\ &{\text{CaC}}{{\text{O}}_3}\xrightarrow{\Delta }{\text{CaO}} + {\text{C}}{{\text{O}}_2} \uparrow \hfill \\ \end{align} $
ここから、加熱前の水酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムの物質量を計算する。
$\begin{align} &{\text{Ca}}{\left( {{\text{OH}}} \right)_2}:\dfrac{{0.18\;[{\text{g}}]}}{{18\;[{\text{g}}/{\text{mol}}]}} = 1.0 \times {10^{ - 2}}\;[{\text{mol}}] \hfill \\ &{\text{CaC}}{{\text{O}}_3}:\dfrac{{0.22\;[{\text{g}}]}}{{44\;[{\text{g}}/{\text{mol}}]}} = 5.0 \times {10^{ - 3}}\;[{\text{mol}}] \hfill \\ \end{align} $
最後に、求める割合を計算する。
$\begin{align} &\dfrac{{\dfrac{{2.00\;[{\text{g}}]}}{{40\;[{\text{g}}/{\text{mol}}]}} - \left( {1.0 \times {{10}^{ - 2}}\;[{\text{mol}}] + 5.0 \times {{10}^{ - 3}}\;[{\text{mol}}]} \right)}}{{\dfrac{{2.00\;[{\text{g}}]}}{{40\;[{\text{g}}/{\text{mol}}]}}}} \times 100\;[\% ] \hfill \\ &= 70\;[\% ] \hfill \\ \end{align} $
したがって、正解は④。 
| 2023/01/26 17:00|センター化学・共通テスト化学|TB:0|CM:0|▲
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