今作は、過去(正確には思い出の世界)に行ったり未来に行ったり、隔離されたり集合したり追いかけたり、時間スケールでダイナミックな作品。
また、素直にすごさに感動できるのは、こういう作品の特権だと思います。
TVCMやOPで映画情報はいろいろ流れていますが、映画を見ながらそれを思い出してみたり、それらを見るときに映画を思い出したりすると、なかなか味わい深いと思います。
本当、いい仕事をする……。
僕は毎作毎作いろいろ感嘆させられているのですが、それとは別に、今作で一番驚いたことがあります。
それは、プリキュアの流血表現があったこと……しかも、赤い血液がかなりしたたっていました。
映画とはいえ、かなり思い切ったことをやりましたね。
個人的には嫌いではありませんが。
さて本編。
物語は、マナママが押し入れからウェディングドレスを発掘するところからスタート。
いかにも色恋沙汰に無頓着そうな感じしかしないマナですが、実際そのとおりのようで、二階堂くんも大変だな……まさか、まこぴーよりもニブいとは。
そんな平和なひとときでしたが、それを破る闖入者が。
それはジコチュー……ではなく、オモイデの国のマシュー。
クラリネットを使って、人々に捨てられた物の復讐心を操り、付喪神にしてしまうようです。
犠牲になる大貝町の人々。
彼らは『スイートプリキュア♪』の加音町民とは違う普通の人なので、なすすべもなくオモイデの世界に封じ込められてしまいます。
そこでマナ・六花・ありす・まこぴーの4人がプリキュアに変身し、応戦。
……が、マシューの作り出した部下は破壊しても破壊しても再生する能力を持ち、マシュー本人の攻撃力も一撃必殺の威力があり、絶体絶命の危機に。
かくして、マナたち4人も思い出の世界に封じ込められてしまいます。
しかし、その瞬間まで決してあきらめない光を湛えた瞳をしていたことは、非常に印象深かったです。
本当、要所要所でドキッとするくらい格好いいですよね、プリキュアは……。
マナが封じ込められた思い出の世界は、小学4年生の過去。
おばあちゃんも、犬のマロも生きている、非常に幸せな世界。
そんな中でも、マナはもとの世界に変える方法を探すため、六花やありすを探します。
瞬時に堕落してしまいそうなセッティングであるにもかかわらず、そうはならないのがさすがマナといったところでしょうか。
しかし、六花とありすはその世界には存在していない様子。
どうやら、完全な過去や思い出ではなく、一部改変されているようです。
一方、難を逃れていた妖精たちは、謎の妖精ベベルと出会い、マナたちを助ける方法を知ります。
まあ、ベベルの正体は声から明らかなのですけども。
ある意味、ベベルの方を露骨に明らかにすることで、マシューの方をうまくやっているという見方もできるかもしれませんね。
マナたちが封印されている思い出の世界は、現実世界では映画のフィルムという形で存在していました。
妖精たちはそれを奪還しようとしますが、それは失敗します。
しかし、機転により、妖精がそれぞれのパートナーの世界に飛び込み、救出を試みます。
完全に完璧な閉じた世界にイレギュラーを放り込むことによってヒビを入れ、殻を割ったり檻を破ったりして解放というのは、もはや様式美ですが、だからこそ美しい……。
マナは1人でしたが、六花とありすは同じ世界に閉じ込められていました。
しかし、違和感はあるものの、記憶をなくし目的を見失っている状態だったようです。
そこに、ラケルとランスが到着、記憶も戻り、思い出の世界から脱出することを考えます。
そこに、敵が出現。
かつて苦戦し、最終的に敗れた相手ではありますが、マナのもとに駆けつけるという強い意志により新技も炸裂し、なんとか打ち倒します。
まこぴーも思い出の世界では1人。
最近出会ったわけなので、一緒の思い出の世界にはいられなかったのでしょうね。
そこは、滅ぼされる前のトランプ王国でした。
まこぴーの場合、マナと同様に記憶は保持していた様子。
マナと違うのは、偽りの世界とわかっていても、滅びていないトランプ王国を受け入れてしまったところでしょうか。
まあ、そうなるのが普通で、マナが異様に強固なメンタルをしているというだけなのでしょうけども。
そこに、ダビィが到着。
まこぴーの目を覚まさせ、脱出を決意させます。
そうはさせじと、やはり敵が出現します。
苦戦を強いられますが、どうやったか駆けつけたエースと協力し、さらに新技も炸裂し、かつて敗れた敵の、全力を打ち破ります。
残るはマナ。
シャルルが到着しますが、大好きな犬のマロとの2度目の別れを経て、その心は既に折れかけています。
それでも、記憶を放棄したりせず、意識的か無意識的か、このままではダメだという表情をしているあたり、やはり精神力は強いですね。
最後にマナの背中を押したのは、おばあちゃん。
プリキュアのおじいちゃんおばあちゃんは、いつだってただ者ではないです。
愛は受け継がれていくもの……。
冒頭の、ウェディングドレスの話がここで生きてくるわけですね。
かくして、5人のプリキュアが復活。
そして、ラスボスかと思われていたマシューは、実はそうではなく、真の黒幕はクラリネットの方でした。
元ネタは、やはりパパからもらったクラリネットでしょうか。
マシューの正体は、マシュマロ……つまり、犬のマロ。
クラリネットに、いいように使われていただけのようですね。
クラリネットには時空を越える力があり、世界の未来を消すと言い残して去りました。
このままでは世界が危ない……のですが、プリキュアたちには手立てがありません。
プリキュアたちが時空を越えるには、ミラクルブーケライトのパワーが必要。
それを使うのは、もちろん映画を見ている子どもたちです。
今作でうまいのは、過去の世界を映画のフィルムという形で表現したことにより、時間や世界が映画で言い表すことに違和感がなくなり、恒例の呼びかけが「映画を見ているみんな!」と直接言えるようにしたことでしょうか。
そして、舞台は10年後の未来へ。
そこでついに、クラリネットとの最終決戦。
伝家の宝刀、『プリキュア・ラブリーストレートフラッシュ』を繰り出しますが、クラリネットはそれに耐えます。
万策尽きたか……と思われましたが、マロの存在そのものといっても過言ではないプシュケーのエネルギーによりハートがパワーアップ。
『キュアハート・エンゲージモード』となり、クラリネットを浄化します。
そして現代。
マロやベベルとお別れの時です。
最後に、ベベルの正体の種明かし。
ベベルの正体は、おばあちゃんでした。
つまり、妖精の姿を取ってはいたものの、ベベルはマシューと同じく霊的存在だったのですね。
購入物はこんな感じ。

撮影:α NEX-3N(画像クリックで高解像度版表示)。
冒頭でも書きましたが、『ミラクルブーケライトスペシャル』が売っていなかったのは絶対に許されざるよ。
また、今作では
スマホアプリと連動した企画もありました。

見る前に操作をしておくと、映画を見終わって電源を入れ直したあたりで特典がもらえるという感じになっています。
仕様上、見終わった後からでも間に合うと思われるので、機会を逃したと思っている人は是非やってみてはいかがでしょうか。
その際、電源のOFF→ONを忘れずに。
特典はメッセージと3Dモデル。
3Dモデルは、いつもTVアニメ放送時に配布しているものの特別版ですね。

こんな感じ。
実にいい感じです。